第14章 潜入、白鳥沢学園2日目〜記憶の『 』〜
……どうやら、ウジウジ考えてしまうのは私の悪い癖らしい。でも、ちょっとしたきっかけで解決するのはいいところ、だろうか。
そうだ。若利さんの言う通りだ。
今更考えたって、過去にした事を変える事なんて出来ない。なら、若利さんの言う通り、最後まで貫き通さなくては駄目だ。
(そうでなくちゃ、工に申し訳が立たない)
「ありがとうございます。若利さんのおかげで、スッキリしました」
「礼は必要ない。俺はただ、思った事を口にしたまでだからな」
「いえ。その思った事で私は救われたのですから、お礼は必要です」
「……そうか」
「!」
そう言った若利さんは、分かりづらいけど、少し口角が上がり確かに笑っていて。その珍しい表情に、思わず目を見開いて驚いてしまった。
(若利さんも笑うんだ……)
かなり失礼な事を思い、すぐそうだよなと思い直す。
若利さんも、今を生きている人間なのだから。
「?どうした。俺の顔に何かついているか?」
「い、いえ!何もついてないですはい!」
「そうか」
「そうです!あっ、指の手当てありがとうございます!」
「いや……何故焦っている」
「あ、焦ってないですよ!あ、そういえば、若利さん朝早いのですね!」
「ああ、朝早くに走るのがもう日課になっているからな」
「ほへ〜、そうなのですか」
私のわざとらしい話題転換に、若利さんは素直に答えてくれた。それに罪悪感を抱きながらも、心の中でホッと安堵の息を吐く。
「そういう白鷲も早いな」
「あ、はい。食堂のおばさん達のお手伝いをしていましたから」
「偉いな」
「い、いえそんな!少しだけですし、それに手伝ったら余った食材でお弁当を作っていいと言ってくださったので」
「弁当?昼のか?」
「はい」
「白鷲は学食で食べないのか?」
「大…じゃなくて、親からお金は貰っていますけど、何だか使うのは躊躇ってしまって」
そう。白鳥沢学園に潜入する前に、必要だろうと大婆さまが人間のお金を持たせてくれたけど、何だか使うのは躊躇ってしまうのだ。……自分でも、どうしてなのかよく分からないけど。