第12章 潜入、白鳥沢学園1日目〜人の優しさ〜
「え……」
天童さんのそのひと言で、ワアッと食堂がいつの間にか席に着いていたみなさんの拍手で包まれた。そんな盛り上がりに対して、私はまだ理解出来ていないでいる。
(かんげいかい……歓迎会?)
「もしかして、私の歓迎会?」と呟いたら、工が笑いながら「そうだよ」と答えてくれた。
(みなさんが、私のために……)
やっとすべての事が理解した瞬間、私は視界がぼやけるのが分かった。そして、正面に座っていた山形さんがギョッとした様子で見てきた事も。
「お、おい白鷲。何で泣いてるんだ……!?」
山形さんの言葉で、他のみなさんも私が泣いている事に気付き、心配そうに見てきた。それに、私は慌てて首を横に振りながら涙を拭う。
「ご、ごめんなさい……!でも大丈夫です。これは嬉し涙ですから……!」
そう、これは嬉し涙だ。
……私は今まで、工以外の人間に少し恐怖心を抱いていた。でも、今日1日で色んな人達の優しさに触れてきて、ひとつ分かった事がある。それは、人間には私を傷つけた悪い人もいれば、工やクラスのみなさん、バレー部の人達みたいに優しい人も世の中にはたくさんいる事だ。たったそれだけの、とても簡単な事だったのに、私は何をウジウジ考えていたのだろう。自分に呆れすぎて、思わず笑ってしまった。
「だ、大丈夫……?」
いきなり笑い出した私を心配したのだろう、工が遠慮がちに聞いてきた。その質問に私は頷き、椅子から立ち上がってみなさんの顔を見渡してから頭を下げた。
「みなさん、私のためにこのような会を開いてくださって、本当にありがとうございます!」
さあ、辛気臭いのはこれでおしまい。
今は、せっかく開いてくれたこの歓迎会を大いに楽しもう!