第10章 潜入、白鳥沢学園1日目〜バレー部と顔合わせ〜
「それじゃあ、お前らも軽く自己紹介しろ」
鍛治さんのその一言で、バレー部の人達の自己紹介が始まった。
『コーチ』の斉藤さんから始まり、1年生から順にしてもらい(工はとてもいい笑顔だった)次は2年生の番になった。
「白布賢二郎です。ポジションはセッター。よろしく」
(あ、この人いつも工に厳しくしている人だ)
工と同じく、綺麗に切り揃えられた前髪を揺らしながら軽く頭を下げた『白布さん』は、いつも工に厳しかった。それが全部工のためと分かっているけど、もう少し優しく出来ないのかなと練習を見ながらずっと思っていた。
そんな思いを込めてじっと見ていたら不思議そうに首を傾げられ、私は慌てて「よろしくお願いします!」と頭を下げた。
「川西太一です!ポジションはミドルブロッカー。よろしく!」
(………?)
『川西さん』の自己紹介に、思わず首を傾げてしまった。何故なら、声はとても元気なのに、それに対して表情筋がまったく動いていなかったからだ。そのちぐはぐさに戸惑っていると、白布さんが助け舟を出してくれた。
「ああ、太一は大体こんな感じだから、慣れて。それに、ちゃんと歓迎してるから平気だよ」
「わ、分かりました。……えっと、よろしくお願いします。川西さん」
「うん。よろしく!」
……ちゃんと慣れる事が出来るだろうか。心配だ。
その後も2年生が順にしていき、次は3年生の番になった。
「主将の牛島若利だ。ポジションはウイングスパイカーだ。よろしく頼む」
……上から見ている時も思っていたけど、この人を前にして余計に感じる。この威圧感というか、圧倒的な存在感に。これが王者で大エースの貫禄か。
工はそんな人を前に堂々と宣戦布告をしているのだから凄い。
思わず震えそうになる声を抑えて「よろしくお願いします」と頭を下げると、短く「ああ」と返された。