第10章 潜入、白鳥沢学園1日目〜バレー部と顔合わせ〜
「昨日も言ったが、今日から1週間マネージャーする事になった––––」
(……………)
鍛治さんが私の事を説明している間、どこを見ていればいいか分からずさ迷わせていると、ふと視線を感じた。それを不思議に思いそちらに顔を向けると、赤い髪が逆立っている人がその大きな瞳をまん丸にしてじっとこちらを凝視していた。
(……な、なんか、すごく見られてる……)
何故そんなに見つめられているのか分からず困惑していると、その人はハッとした様子を見せて隣にいた灰色の髪を真ん中に分けている人の肩をチョイチョイと叩いた。そして何やら会話をした後、今度は灰色の髪の人の方が驚いたようにこちらを凝視してきた。
(????)
よく分からない反応にいくつもの疑問符を飛ばしていると、不意に鍛治さんに呼ばれた。完全にあちらの方に意識がいっていたから、返事をする声が思わず裏返ってしまった。
……恥ずかしい。この場に穴があったら、すぐさま入りたいくらいである。
「?大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……。それで、何でしょうか?」
「お前からも、ちゃんと自己紹介しておけ」
「あ……はい、分かりました」
鍛治さんの言葉に頷き、視線を前に向ける。この感覚に慣れたのか、それとも彼らも見知った人達だったからなのか、どちらかは分からない。でも、人間を前にして抱いていた恐怖心が湧き上がってくる事はなかった。
「みなさん初めまして。白鷲真白です。1週間という短い期間ですが、みなさんの迷惑にはならないよう精一杯頑張ります。よろしくお願いします!」
バッと勢いよく頭を下げると、パチパチパチと拍手が起きた。その音に顔を上げると、ほとんどの人が拍手をしながら笑顔で「よろしく」と言ってくれた。それが嬉しくて、何よりみなさんに受け入れられたみたいで、私は自然と表情が笑顔になっていくのが分かった。