第2章 雨の日の出会い
温かい。
気持ちいい。
誰かが私の翼を撫でている。その気持ちのよい感触に導かれるように目を開けると、真っ黒いクリクリの瞳が目の前にあった。
「……っ!?」
「おっ!目が覚めたんだな!よかった〜」
それに驚いて思わず体をびくつかせたけど、相手は気付かなかったのか、その瞳を輝かせ嬉しそうに顔を綻ばせた。
……間違いない。自分の記憶が正しければ、気を失う前に会ったあの少年だ。という事は、私は助かったのだろうか。
まだ少し重たい、でも先程よりは軽くなっている体を動かし周りを見回すと、どこかの部屋の様だ。きっとこの少年の部屋だろう。ベッドの上にボールがあるのが見えた。
「?俺の部屋が珍しいか?別に特別な物は置いてないけど」
私の仕草を見て、少年はこの部屋を珍しがっていると勘違いしたのか、不思議そうに自分の部屋を見回してまた視線を私に戻した。そしてニカっと笑うと、「お前、お腹空いてるだろ?」と聞いてきた。
あら不思議。今まで空腹を感じていなかったのに、その質問を受けた瞬間自分のお腹が小さく鳴ったのが分かった。しかもその音は少年にも聞こえていた様で、大きく口を開けて笑った後立ち上がった。
「待ってろ!すぐ持ってきてやるからな!」
そう私に言い残して、バタバタと部屋を出て行く。その後「お母さーん!あいつ目覚ました!何食べるかな!」という言葉がここまで聞こえてきて、それが何だか微笑ましく思わず頰が緩んだ。