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白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第2章 雨の日の出会い


冷たい。
痛い。
寒い。

ザーザー、とまるでバケツをひっくり返したような土砂降りの中。私は人間によって傷つけられた体を動かす事が出来ず、ただただ冷たい雨に身を晒していた。

「キュー……、ヒュー……」

長い時間雨に打たれていたせいか、掠れた声しか出ず助けも呼べない。もしかして、私はここで死ぬのだろうか。まだやりたい事があったのに、無残にも。

(嫌だ……!そんなの嫌だ……!!)

こんな殺風景な所で、誰にも看取られる事なく死ぬなんて真っ平ごめんだ。

(私は、生きたい……!!)

硬直してきた体に力を入れ、翼を動かそうとしながらそう強く思ったその時

「……?」

冷たくて痛い雨の感触が突然消えた。雨が止んだのだろうか、とぼんやり思いながら重い瞼を持ち上げて景色を見たら、まだ雨は降っているではないか。じゃあ何で……答えは簡単、目の前にいる人間の持ち物であろう『傘』が自分の方に傾けられていたからであった。

「おい!お前、大丈夫か……!?」

小学生くらいだろうか、綺麗に切り揃えられた前髪を揺らしながら、少年は焦った表情でしゃがみ込みそう聞いてきた。その質問に答えたいけど、答える声も術も今の私にはもうない。その代わりに、せっかく持ち上げた瞼が勝手に下がり、視界が黒に変わった。

「お、おい!えーっと、どうしたらいいんだ……!?」

(ごめんなさい、名も知らない少年。関係のない事だったのに、貴方を巻き込んでしまって……)

心の中で少年に謝り、でも心のどこかで助けてくれないだろうかと思っていると、不意に体が何か温かいものに包まれた。

「待ってろ!俺が絶対助けてやる!」

次いで聞こえてきた、頼もしい言葉。その言葉を聞いた瞬間確信した。自分はその言葉通り、助かるのだと。
ゆさゆさと揺れる中、私は全身の力を抜いてこの身を少年に預けた。

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