第2章 雨の日の出会い
「お前って何食べるか、俺もお母さんも分からなかったから、一応肉と魚両方持ってきたぞ!」
数分後、少年は二枚の皿を持って戻ってきた。皿にはそれぞれ生の肉と切り身の魚が乗っており、空腹の私にはとても魅力的に映った。というか、私は基本何でも食べるので大丈夫です。
「ほーら!たんと食べろよ!」
少年はそう言って、私の近くに皿を置く。その瞬間、行儀が悪いと思いつつも止まる事が出来ずついがっついてしまった。そしたら、また少年が大きく口を開けて笑う。
「はははっ!そんなにお腹空いてたのか!可愛いやつだなぁ!」
(可愛いって……照れるじゃないですか)
少年の言葉に心の中で照れながらも、食べる口は止まらない。おいしいおいしいと思いながら食べていき、あっという間に皿の上にあった肉と魚がなくなった。
「おっ!全部きれいに食べ終わったな!えらいえらい!」
食べ終わった事に気付いた少年が、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。それにより自慢の毛並みが乱れていったけど、少年には感謝をしているのでそのままされるがままにした。
しばらく撫でて満足したのか、少年は頭から手を離し皿を重ねて少し横に動かしてから私に一歩近づく。そして顔を覗き込むと、今度は首を撫でながら「お前、動けそうか?」と心配そうに聞いてきた。
その質問を受けて翼を広げようとしたけど、その前にズキっと痛み翼は広がる事なく終わってしまった。……これでは空を飛ぶ事は出来ないだろう。一部始終を見守っていた少年も無理と判断したのか、残念そうにこちらを見る。でもすぐに笑顔を浮かべると、胸をドンッと叩いてから大きく張った。
「心配するな!お前が空を飛べるようになるまで、俺が面倒見てやる!」
「!!」
少年の笑顔と言葉に、私は呼吸をするのも忘れ魅入った。それだけ今の少年は輝やかしく頼もしく見えたのだ。
「よし、そうと決まれば、まずは自己紹介だな」
そんな私を置き去りにして少年は話を進めると、スッと片手を差し出してきた。そして飛びっきりの笑顔でこう告げたのだ。
「俺は五色工!よろしくな!」
これが優しい人間……工との出会いだった。