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白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第9章 潜入、白鳥沢学園1日目〜昼休み〜


「……もしかして、鶴岡達と昼の約束してた?」
「いえ!さっき誘われたので、大丈夫ですよ」
「そっか、よかった」

工はそう言って笑うと、ビニール袋から色んな種類のパンをいくつも取り出した。随分とあるなと思いながらも、私も鞄からお弁当を取り出す。ちなみにこのお弁当は、朝早くに大婆さまが作ってくれたものだ。

「おっ、白鷲の弁当美味しそうだな」
「はい、私もそう思います」
「……さっきから思ってたけど、俺に敬語使わなくていいんだよ」
「あ……、これはもう癖みたいなもので。もし不快な思いをさせていたらすみません」
「い、いや大丈夫!ちょっとむず痒い思いをするだけだから!」

工は慌てて首を横に振ると、キョロキョロと周りを見渡した後、スッと顔を近づけてきた。いきなりの事で身体を固まらせていると、そのまま顔は横に逸れて私の耳元で止まった。

「それで、聞きたい事があるんだけどいいか?」
「えっ!?あ、はい!大丈夫ですよ!」
「?顔が赤いけど、大丈夫か?」
「はい!大丈夫です!」

(びっくりした……)

いきなり顔を近づけてきたから、何事かと思ってしまった。未だに驚きで心臓がドキドキしているけど、工の話を聞かなくてはいけない。
心臓を落ち着かせるように小さく深呼吸してから質問したい事は何かを聞くと、工は真剣な表情で口を開いた。

「白鷲はかん……おじいさんからバレー部の様子とか何か聞いてるか?」
「え?」
「た、例えば、俺の事……とか」
「…………」

そう聞いてきた工は頰を少し赤く染め、期待のこもった目をしている。きっと練習中では聞けない、鍛治さんの本音みたいのを聞きたいのだろう。でも、生憎鍛治さんとは一昨日初めて会ったから、もちろんバレー部の話を聞いた事はない。

(でも……)

チラリと工の様子を窺うと、まだ期待のこもったキラキラとした目でこちらを見ている。そんな工を前に、聞いてないとはどうしても言えず、気付けば私は頷いていた。

(わあー!?何をしているんだ私ー!!)

心の中で自分を叱咤するけどもう遅い。今まで以上にキラキラとした目で見つめてくる工。今更嘘ですなんて言えず、私は今まで見てきた練習風景を思い出しながら口を開いた。
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