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白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第8章 潜入、白鳥沢学園1日目〜朝の自己紹介〜


「わ、私の意思は無視ですか?だって、白鳥沢学園に潜入するという事は……」
「ああ、必然的に人間と接触する事になる」
「……っ」

重苦しく告げられた大婆さまのその言葉に、私は息をのみ心臓が嫌な音を立て始める。思い出したくないのに、嫌でも思い出される……あの雨の日の出来事。工に見つけてもらわなければ、死んでいたかもしれないあの日。

「……何か、あったのか?」
「………真白は、幼い頃人間に襲われてな。それ以来、助けてもらったひとりの人間以外には少し恐怖心を抱いているんだ」
「!?」

鍛治さんが息をのみ、驚いたように目を見開きながら凝視してくるのが気配で分かった。
……頭では分かっているのだ。私を傷付けた人間と白鳥沢学園の生徒さんが無関係である事を。でも、まるで条件反射のように勝手に体が震えてしまう。そんな自分自身に、少し嫌気が差しながら。

顔を俯かせていると、不意に感じた頭への重み。それを不思議に思い顔を上げると、大婆さまが優しく笑みを浮かべながら私の頭を撫でていた。

「お、大婆さま……?」
「真白、お前は今のわたしの姿を見て、恐怖心を抱くか?」
「え……?」

いきなり何を言い出すかと思えば、そんな事。答えはもちろん決まっている。

「怖くなどありません!人間の姿になっても、大婆さまは大婆さまですから!」
「そうか、ありがとう。では、鍛治はどうだ?」
「鍛治さん……?」

視線を大婆さまから鍛治さんに移すと、少し不安そうに私を見ている鍛治さんと目があった。その姿を見て、思った事をそのまま口に出してみる事にした。

「……最初は姿を見ていなかったので、人間の気配がする、という事だけで体が震えてしまいました。でも、その気配の正体が鍛治さんだと分かると、自然と恐怖心は消えて体の震えも止まったのです。だから、鍛治さんも怖くありません」

私が笑顔でそう言うと、鍛治さんの顔から不安が消えてこちらを優しい眼差しで見つめてくれた。その視線が何だかむず痒く、思わず目を逸らしてしまった。
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