第20章 潜入、白鳥沢学園3日目〜サトリ〜
(……怖い)
自分は妖怪だと話して、覚さんが……みなさんが気味が悪いと言って私から離れていってしまうかもしれない。その事を想像しただけで怖くなる。でもこの現状を見る限り、天孤の事を話さないと解放されそうにない。
(どうすればいい……!?)
ギュッと強く目を瞑り、ぐるぐると頭の中で葛藤していると、不意に顎を掴んでいた手が離され覚さんの気配が遠のいたのが分かった。それに驚き目を開けると、更に驚く光景が私の目に飛び込んできた。
「さ、覚さん……!?」
覚さんが深々と私に頭を下げている。
突然どうしたのかとあわあわしていると、姿勢をそのままに覚さんは言った。
「怖い思いをさせてごめんね。でも、本当に何か知ってるなら教えてほしいんだ。だって……」
覚さんはそこで言葉を切り、顔を上げて私を見る。そして苦しそうに、辛そうに眉間に皺を寄せ顔を歪めてから続きを口にした。
「白鳥沢バレー部(ここ)は、俺にとって楽園だから。だから、それが壊される前に何かしたいんだよ」
「さ、覚さん……」
「お願い。お願いだよ真白ちゃん……」
「…………」
普段の飄々とした姿からは想像もつかない、弱々しい姿。その姿を呆然と見ながらも私は思う。覚さんはバレー部を思って頼み込んでいるのに、それを自分の保身で突っぱねていいのかと。
(……そうだよ)
私がどんなに想像したところで、実際はどんな反応されるかなんて話してみないと分からない。それに、覚さんはとても優しい人だ。
(だから、大丈夫。大丈夫。大丈夫……!)
心の中で何度も大丈夫だと唱え、自分の中にある恐怖心を打ち消していく。何度も何度も繰り返し、恐怖心が薄まってきてから私は意を決して覚さんから離れ、自分の部屋のドアに近寄る。そしてドアを開けて後ろを振り返ると、断られたと思ったのか酷く傷ついた顔をした覚さんと目が合った。それを見て安心させようと、私は笑みを作ってから口を開いた。
「少し、長くなります。立ち話もなんですから、中へどうぞ」