第20章 潜入、白鳥沢学園3日目〜サトリ〜
そして、私は話した。
自分が本当は人間ではなく妖怪である事。ここに来た本当の理由は、転校ではなくこの学園に紛れ込んでいる黒鷲を探し出して封印する為に来た事。そして、私には勿論覚さんにとっても重要である、若利さんと工を襲った変な女は天狐という妖怪で、もしかしたら黒鷲と繋がっているかもしれない事を。
……工との事は話さなかった。これは私の問題で、覚さんを巻き込みたくなかったからだ。
それを言うなら、本当は天狐の事だって話したくはなかった。でも、あれだけ頼み込んでくる覚さんを無視する事も出来なかった。
「うーん、なるほどねぇ。話を聞く限り普通じゃないと思ってたけど、まさか若利くんと工を襲った変な女が妖怪だったとはねぇ」
「え……」
話し終わり、私は辛抱強く待つ覚悟をしていた。だって、覚さんにとっては現実味のない話を長々としていたのだ。整理する時間が必要だろうと。
でも、そんな私を物ともせず、覚さんはあっけらかんとして言った。その様子に、思わず唖然としてしまう。
(そ、それだけ……?)
……い、いや覚さんはそこを気にしていたのだから、そのところを話し出すのは当然だ。だけど、もっとこう……違うところにも反応してくれてもいいのではないだろうか。私なりに覚悟を決めて話したのだから。
だから、その事を伝えようと口を動かすけどあまり動いてくれず、私の口からは意味の持たない言葉しか出てこない。それを不思議に思ったのだろう覚さんが、小さく首を傾げた。
「? どうしたの?真白ちゃん」
「あ、あの…!な、何と言いますか、もっとこう……」
「………ああ、そんな簡単に信じてもいいのかって事?それなら大丈夫だヨ。俺こう見えても、そういう事には聡いから」
「そ、それもそうなのですが……」
「ん?」
「っ……」
どうやら、覚さんは本当に私の言いたい事が分からないらしい。
……どうしてだろう。どうして、一度も驚く素振りを見せないのだろう。どうして、そんなに簡単に受け入れられているのだろう。