第20章 潜入、白鳥沢学園3日目〜サトリ〜
本当は知っている。でも、その事を正直に話すとなると、必然的に自分の事も話さなくてはならなくなる。……正体を知られたくない私にとって、それは絶対に駄目だ。だから、吃りながらもしらを切ろうとした時、壁についていない方の手で顎を掴まれ強制的に上を向けさせられてしまった。そして、まるで私の目の奥を覗き込むように、近かった距離を更に詰めて覚さんが真っ直ぐ見つめてくる。
「目が泳ぎまくってる。これは嘘をついている人によく出る特徴なんだよ」
「そ、それだけで嘘と決めつけられても……」
「……う〜ん、そうだねぇ…。確かにそれだけだと、ただ俺との距離感に緊張しているだけだとも言えるよねぇ……」
「そ、そうですよ…!だから」
「でも、そう思ったのはそれだけじゃないんだよなぁ」
「え」
まだ何かあるのか。私が嘘をついていると、確信を持てるようなものが。
それを知りたいような知りたくないような、どっちつかずの微妙な心持ちでいる私を待たずに覚さんは言った。
「俺達が変な女に襲われたと説明し終えて鍛治くんが決断するってなった時、真白ちゃん鍛治くんと目配せしてたでしょ」
「!」
「そして何らかの目による会話をした後、君は小さく頷いて、鍛治くんはしばらく学園の外に出ず様子を見る事を俺達に告げた」
「…………」
「真白ちゃんはバレないように小さく頷いたつもりだっただろうけど、俺は見ちゃったんだよねぇ。他のみんなはどうだったか分からないけど。……これって、何か知ってる事になるよね?」
「っ……」
まさか、あの時の鍛治さんとのやり取りを見られているとは夢にも思わなかった。でも今思えば、あれは覚さん達の目の前でした事だし、誰かに見られていても何らおかしくない事に気が付いた。
(……説明した方がいい?でもそうすると)
自分が『妖怪』である事を告げなくてはならない。そして、天孤が黒鷲と繋がっている可能性がある以上、ここに来た理由も。