• テキストサイズ

白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第19章 潜入、白鳥沢学園3日目〜真夜中の食堂〜


だから工が謝る必要などどこにもない。
それに、おかげと言っていいのか分からないけど、あんなに疑問でぐるぐるになっていた頭が冷えて、少しは冷静に考えられるようになった。そして考えた末、そういえばと思う節があった。

「もしかして、昨日の朝ぐらいから妙に私に視線を送っていたのは……」
「うん。その時点で真白と会った事があるかもしれないと思ってたんだ」
「そ、そんなに早い段階でですか……」
「と言っても、正確には初日に一緒に昼を食べて、お前から褒められた時だな」
「その時に……」

その時の事はよく覚えている。
私が鍛治さんの孫と知った工が、部活中では聞けない鍛治さんの本音を聞きたいと、キラキラと瞳を輝かせながら聞いてきたのが始まりだった。でも、孫というのは私をこの白鳥沢学園に潜入させる為に作った設定で、もちろんバレー部の話を聞いた事は一度もない。だけど、期待の込もった目で見つめてくる工を前に聞いてないとは言えず、気付けば頷いていた。そして、今更嘘だと正直に白状する事が出来ずに、代わりに私が今まで見てきた練習風景を思い出しながら答えていったのだ。

「…………」

とりあえず、どうして工が私と会った事があるかと感じ始めたのか、その理由は分かった。でも、少し既視感を抱く程度のものだけど、たったそれだけの出来事で断片的でも思い出してしまったのか分からない。
今でも未熟者だけど、あの時の私は輪をかけて未熟者だったから、記憶を上手く消す事が出来ていなかったのだろうか。……分からない。

(けど……)

チラリと工の様子を見ると、どこか緊張した面持ちで私の言葉を待っていた。会った事があるか……その答えを。
その様子を見ながらボンヤリ思う。

(工があの時の事を思い出す可能性が十分にある事は分かる……)

/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp