第19章 潜入、白鳥沢学園3日目〜真夜中の食堂〜
「だから、大丈夫です」
工がこれ以上自分を責めないように笑顔で大丈夫だと告げると、何故か何回も瞬きさせて目を擦り出した。
その行動に疑問を持ったけど、それよりも私も工に謝らなければならない事がある。そう思い、その場で居住まいを正して深々と頭を下げた。
「私の方こそ、工の気持ちも考えず追い詰めるような真似をしてしまってごめんなさい……」
「えっ!?いや、俺は大丈夫だから顔を上げて……!」
「でも……」
工は大丈夫だと言うけど、あの時の彼の様子は尋常ではなかった。だからきっと、自分が思っている以上に工を追い詰めてしまったに違いない。
あの時感じた罪悪感がぶり返し、申し訳なさから私は顔を上げられずにいた。
「……じゃあ、真白に聞きたい事があるんだ」
とその時だった。工からそんな言葉が聞こえてきたのは。
「え?」
その言葉に思わず顔を上げると、真剣な表情でこちらを見つめている工と目が合った。
「聞きたい事、ですか……?」
「うん。それは、さっきまで真白が俺に聞いていた事にも繋がるんだ」
「私が聞いていた事……」
それはもしかしなくても、「何故工は挙動不審なのか」という質問だろう。
(……でも)
「いい、のですか?工は言いたくなかったのでは……」
あの時の様子を見る限り、そうだと思っていたけど大丈夫なのだろうか。もしかして、また無理をさせているのではないだろうか。
心配になって聞くと、工は首を横に振った。
「いや、言いたくなかったっていうか……悩んでたんだ」
「悩んでた……?」
「うん。……これを口に出して聞いたら、真白にドン引きされるんじゃないかって……」
「ドン、引き……」
私がドン引きする恐れがある質問。しかもそれは、私が聞きたかった事にも繋がってくる質問。……一体、工は何を聞こうとしているのだろうか。
(…………)
その時、何故だろう、胸に不安が湧き起こってきた。このまま工の話を聞いていいのかという、そんな漠然とした不安が。
思わず両手で自分の胸に触れると、工が心配そうに顔を覗き込んできた。