第19章 潜入、白鳥沢学園3日目〜真夜中の食堂〜
「嫌じゃないよ。それじゃあ一緒に飲むか」
「っ、はい!」
(よかった。断られなくて)
頷いてくれた工に私も笑顔で頷き、自分の分のコーンスープの素とマグカップを取りに小走りで棚に向かう。
(……でも)
そしてその2つを手に取りながら思う。何だか工の笑顔がどことなくぎこちなかったようなと。
……気のせいかもしれない。でも、いつものあの癒される笑顔とは程遠いように感じてしまったのだ。
そんな違和感を抱きながらも、待たせるわけにはいかないと思い、私は急いで工の元に戻った。
「––––だと思うのですが、工はどう思いますか?」
「うん…いいんじゃないか」
「………そうですよね」
(……やっぱり)
あれからコーンスープを作り終え、食堂にある椅子に隣同士で座って話しながら飲んでいた。その間の工の様子を見てきて、私が感じた違和感が確信的なものになってきてしまっていた。……本当なら、気のせいであって欲しかったけど。
話している最中、工はやはり笑顔がぎこちなく、視線が時折左右に揺れて交わらない時があった。明らかに挙動不審だ。
そんな様子を見て、思い出すのは今日……あ、いやもう昨日か、昨日の工と気まずくなった時の事。あの時よりかはまだ話せている分大丈夫な方なのだろうけど、やはりこのままなのは嫌だ。
(工とは、やっぱり楽しく話していたいから……!)
会話が一区切りついたところを見計らい、私はグッと表情を引き締め意を決して聞いてみた。
「あの!」
「ど、どうしたんだ?」
「どうして工は、さっきから挙動不審なのですか?」
「っ……!」
その瞬間、工の表情がピシリと固まった。目を見開き、こちらを心底驚いたと言わんばかりに凝視してくる。
……気付かれていないと思っていたのだろうか。でも残念ながら、気付いてしまったのだ。いやでも、この場合は気付いてよかったのかもしれない。
未だに見開かれている工の目をじっと見つめる。