第17章 潜入、白鳥沢学園2日目〜天狗のお面〜
「だから守ったのです。……傷ついて欲しくなかったから」
「……変わりましたね。以前は人間に恐怖心を抱いていたのに……」
「そうですね……でも、色々な人が気付かせてくださいました」
人間には私を襲った悪い人間もいれば、バレー部やクラスのみなさんのような優しい人間もたくさんいるのだと。
「だから決めたのです。内面も見ずに、相手が人間だからと恐怖を抱くのはやめようと」
今の気持ちを素直に口にしたら、より実感する。この数日で自分が変わった事に。でもそれは、決して悪い方向ではなくて、むしろその逆だ。変わってよかったと、心からそう思う。
「っ……」
とその時、天孤の拳が強く握られたのが分かった。よほど強く握っているのか、手は段々と白くなっていき震え出す。
それが心配になって声をかけようとした瞬間だった。
「何故貴女達白鷲一族は、いつも人間の味方をするんだ!!」
まるで堰を切ったように天孤が叫んだのは。
やはり天狗のお面で表情は見えなかったけど、その叫び声は悲痛で、憎しみが込められているように感じた。
突然負の感情をぶつけられ、呆然と天孤を見る事しか出来ない。そうしているうちに、また天孤は踵を返して走り去ってしまった。
でも、先程の言葉が私を縛りつけ、追いかける事が出来なかった。
(どういう意味だったんだろう……)
白鳥沢学園を目指して飛んでいる最中、考えるのは先程の天孤の言葉。まるで、歴代の白鷲一族の行動を見てきたかのような口ぶりだった。
でも、そんな筈はない。ご先祖……初代の白鷲が生きていたのは今から昔のむかしの事で、たった数十年しか生きていない私達が知る由もないのだ。
(なのにどうして……)
頭の中で色々と考えても答えは出ない。そして出ないまま、白鳥沢学園に着いた。
行った時と同じ、体育館の裏に回り木と木の間に下りて人間の姿になる。そして急いで体育館に戻ると、ちょうどみなさんもロードワークから帰って来たところだった。どうやら間に合ったみたいだ。