第17章 潜入、白鳥沢学園2日目〜天狗のお面〜
白鷲。
その鳥の名前が出された瞬間、五色は思い出した。自分の身に降りかかった、すべての出来事を。
「っ、天狗のお面を被って、背中に翼を生やしたあの変な奴は!?」
まだ近くにいるのか。
心配になり、慌てて立ち上がって改めて周りを見渡すが、それらしい姿はどこにも見当たらない。その事実に五色が安堵の息を吐いていると、瀬見と山形も立ち上がり難しい顔をする。
「……若利も言ってたけど、それ、本当なのか?」
「俄には信じ難いよな……」
「ほ、本当です!」
「……まあ、若利も工も、そんな嘘を吐いて周りを騒がす奴じゃないしな……」
「そうだよなぁ。……やっぱり本当か」
「はい!そうです!」
全部本当にあった出来事だ。その証拠に、牛島の頰に助けに入った白鷲の血痕が残っていたのだから。
(……血?)
「そ、そういえば、怪我をした白鷲は今どこにいるんですか!?」
その白鷲は、もしかしたら最近見なくなっていたあの白鷲かもしれない。怪我をしているなら手当てをしたい、五色はそんな気持ちを抱き、次にはぼんやりとした既視感を覚えた。
(前にも、そう思ったような……)
いつ、どこで、何の時にそう思ったのか。
思い出しそうで、思い出せない。思い出そうとすると、ズキリと頭に鈍い痛みが走る。五色が小さく呻き声を上げながら思わず頭を押さえたら、瀬見と山形は慌てて顔を覗き込んだ。
「ど、どうした工…!大丈夫か……!?」
「もしかして、頭を打ったのか……!?」
「い、いえ…。大丈夫です……」
痛みが段々と引いていく。どうやら、思い出そうとしなければ痛みは来ないみたいだ。
そう理解した五色はいったん考えるのをやめて、今度は白鷲の事を考える。怪我は大丈夫だろうかと。
(……まただ)
その途中、あの時とは考える順番が逆だが、やはり五色の頭の中で白鷲の姿を思い浮かべると、必然的に『真白』の姿が思い起こされる。
この1羽と1人は、何か関係があるのだろうか。
2回続けてともなると、そう思わずにはいられない五色だった。