第17章 潜入、白鳥沢学園2日目〜天狗のお面〜
「おお、本当だ。こんなに近くで見るのは初めてだなぁ」
「だよね!俺もそう!」
「どうしたんだ?お前ら」
「上に何かあるのか?」
覚さんと獅音さんが走るスピードを落として私を見ていれば、当然他のみなさんも気付くわけで。今では全員立ち止まって、こちらを見てくる始末である。
彼らの方から「おー!」やら「生で見るのは初めてだな!」など、色々な声が聞こえてくる。そして賢二郎さんと太一さんは言葉こそ出ていないけど、心なしかいつもより目が輝いているように見えるのは気のせいではないだろう。
(は、恥ずかしい……)
みなさんからこんなに注目されるのは、昨日の初めて会った時以来だ。そもそも注目される事自体慣れていない私にとっては、中々に居心地が悪い。
妙にそわそわして、無意味に翼を動かした時だった。
(……て、あれ?)
こちらを見てくるみなさんの中に、工と若利さんの姿がない事に気付いたのは。
(……っ!)
その事実に気付いた瞬間、気付かぬうちに消えていた胸のざわめきが、また感じてくるのが分かった。しかも、今までの中で1番大きい。まるで、先程まで考えていたよくない事が工と若利さんに迫ってきているのを知らせるように。
(何ですぐ気付かなかったんだ、私……!)
……私の中の何かが告げている。早く2人の元に行かないと、取り返しのつかない事が起きると。
「っ……」
そう感じた瞬間、私は素早く前を見据え、工と若利さんが走っているであろう場所まで全速前進で飛んだ。