第4章 小林君の欲情
「小林…落ち着けって…な?」
瑞希は焦りの表情で小林に訴えかけるが、当の本人は口角を上げてにやりと笑うだけだ。
「俺はいたって落ち着いてますよ?…ほら、高嶋さんの方が凄いドキドキしてる…。これって俺に興奮してくれてるって事ですよね…?」
「っ…っ!」
小林の男らしい大きな手が瑞希の左胸に触れる。確かに、触れられた事で自分の鼓動の早さが直に伝わるが、これが興奮から来るものなのか、恐怖から来るのか分からなかった。しかし、体は反応し始めている。
瑞希は思わず縛り上げられた腕に顔を埋め、目を力強く瞑(つぶ)った。
__嫌だ!こんなの私の知ってる小林じゃないっ!