第3章 story Ⅲ
「俺は鷹の五感全てを犯すよ?視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚…そう、全てね…。俺無しじゃいられないほど鷹の中に「俺」を刻み込むんだ。」
瑞希は目を見開き固まっていると、服の中に手が侵入してくるのに気付いた。
「ちょ、ちょっと待った!」
手を掴み力強く拒む瑞希に、浅見は憤りを感じる。
「…何?次は付き合ってないから駄目とか言うの?」
「…いや、そうじゃなくて…。」
耳まで赤くさせ、伏し目がちに目をそむける。何かゴニョゴニョと口を動かしながら話し出した。
「あ…あのさ、浅見が良かったら家に上がっていくか…?送ってくれたお礼もしたいし…。」
一度も聞いたことがない精一杯の素直な言葉に、浅見の顔から笑みがこぼれた。