第3章 story Ⅲ
「へー、俺に電話しようとしてたんだ?」
「…ああ。…っん?!」
慌てて顔を上げると、テーブルに手を付き、瑞希の携帯を覗きこむようにして見ている浅見がいた。
「え゛っ?!何でここにいるんだよ!!」
「ん?外から鷹の姿見えたからね。」
心臓が爆発しそうなぐらい脈を打ち、真っ赤な顔になりながら咄嗟に携帯をしまう。浅見は向かえに座り、テーブルに片肘を付いて面白そうに笑った。
「アハハ!電話したかったらすれば良いのに、友達なんだから。」
「…いや、それもそうなんだが…。」
顔をうつむかせ、胸の高鳴りを抑えようと深呼吸をした。横目で外を見ると、ハザードランプを点滅させた車が一台停まっている。
「これから仕事だろ?…ここにいて良いのか?」
「今日は日曜だよ。」
「え?…ああ、そうか。」
暦通りの仕事では曜日感覚が無くなる。取り合えず今日は仕事か休みかの確認しか出来なくなってくるのだ。