第3章 story Ⅲ
「アハハ!そうなんだ?でも、小林に好かれた人は羨ましいな。素直だし、気が利くし、何でも自分の事のように心配してくれるし…。」
「そ、そんな事ありません!俺は鷹島さんにしか__」
小林の言葉の途中に外が一瞬光り、雷が音をたてながら落ちた。停電するほどではないが、より一層雨が強さを増す。
「あー、凄い雨になってきたな。小林、報告書早く終わらせて帰ろうか。」
「…はい。そうですね…、そうですよね…。」
小林の落胆している姿に瑞希は構わず、手早く報告書をまとめ始めた。二人は大橋所長に報告書を提出すると、他の刑務官達に一礼してから待機室を出た。
廊下を歩いていても外の雨音が聞こえてくる。ただでさえ薄暗い刑務所内がさらに薄暗く、湿気のせいで空気がこもっていた。
玄関から出ると、立ちすくんでしまう程の豪雨。空を眺めても、真っ黒な雲が一面に広がっていた。