第2章 story Ⅱ
「そういえば、こうしていると思い出しますね!浅見恭一の事。」
「あ…浅見…?」
思いがけない名前が出てきて、目を見開き小林の方を見ると、小林は天井を見たまま言葉を続けた。
「鷹島さんと浅見恭一、ここでよく話してたじゃないですか。」
昔は今の配置ではなく、脱衣場に一人、入口に一人と二人で監視していた。その頃も入浴時間は短かったが、浅見は入浴もそこそこに、瑞希に話し掛けていたのだ。一体、どうやったらこんなに早く出れるのか聞きたいぐらいだった。
浅見が出所して三年近く経つというのに、こんなにも鮮明に覚えているのかと思うと、急に笑えてくる。