第1章 story Ⅰ
手が痺れているのだ。気づけば、足も口も身体中痺れ始めていた。
__珈琲に痺れ薬___!?
「お…まえ、何…した…!?」
睨み付ける瑞希の顔を見て、浅見は笑いだした。
「アハハ!鷹はバカだね。男が女を入れて何にもしないと思った?まぁ、そこが可愛いんだけど。」
浅見は自由の利かなくなった瑞希の体を軽々と持ち上げ、寝室へと運んだ。ダブルサイズほどあるベッドに優しく寝かすと、上に覆い被さり、お互いの息がかかるぐらいまで顔を近づけた。
「…くっ…。」
「フフ。そんな怯えた顔をしないで。鷹だって俺の事好きだったでしょ?いつも俺の声にうっとりしてたの知ってるよ?」
瑞希は怒りで顔が赤くなっていくのが分かった。手で浅見を押し退けようとしても力が入らなく、ただ添えているだけになってしまう。