第8章 月が綺麗ですね
「きゃー!あれ、見て真砂子!写真撮ろー」
「でもすごい人だかり…。後で並んで撮った方が良さそうですわ」
「あー…、残念…」
真砂子の言う通り、キャラクターは時間が来たのかキャストに連れられ戻っていく。
「滝川さん、何ちゃっかり撮ってもらってるんですか」
「あっちの方から寄ってきたんだよ!」
聞き覚えがある声に麻衣がキョロキョロしていると、そこには見慣れた二人の姿があった。
「ぼーさんと安原さん!?」
「おお、麻衣と真砂子?」
「すごい偶然ー。やっぱり仲良しですね」
「お二人こそ…」
若干引き気味の真砂子をよそに、麻衣は嬉しそうに滝川のそばに寄る。
「ね、ぼーさん達も一緒に回ろ!」
四人で夢の国を回ることにした一行は少し早めの昼食を取ることにした。
「ねー、なんで今日急に休みになったんだろ?」
「麻衣が知らないのに俺が知るかよ。なぁ少年」
「やっぱり謎がまだまだ多いですよねー、渋谷さん」
「……あの手紙」
ポツリと真砂子が呟いた言葉に皆の注目が集まった。
「…いえ、あの薄紫色の手紙が届いた日からナルが何だかそわそわしている気がして。きっと勘違いなんでしょうけど」
差出人は日下部清。
清とナルが一緒にいる所を見た滝川と安原は鋭すぎる真砂子の勘にドキッとする。
それでもまさか清が日本に来ているなんて、夢にも思わなかったのだ。