第8章 月が綺麗ですね
「急に休みとか、あり得ねえー。せっかく予定空けてんのに」
「休みのたびにタダコーヒー飲みに来てるだけでしょ、滝川さん。いい加減請求されますよ」
渋谷の某コーヒーショップに滝川と安原はいた。
「あー、朝から野郎に呼び出されるとか面白くない…」
「いやいや、モノは相談で。滝川さんが頼れるからこそ」
安原が急に下手に出て、おやと耳を傾ける。
実はと、彼はカバンの中からチケットを取り出した。
「…夢の国のチケットじゃねぇか。これが何?」
「いやぁ、これ飲み会のビンゴゲームで当たったんですけどね、期限切れそうなんですよ。だから一緒にどうかなって」
「……お前、誘う相手間違えてないか…」
顔を覆う滝川に、安原はバツが悪そうな顔をした。
「なかなか、デートに誘うような子とも出会えないし、譲るのももったいないじゃないですか。意外と僕、夢の国好きなんですよね。ノリオとだったら楽しめるかなって」
「気持ち悪いわ!!麻衣か真砂子誘えば済むことだろ」
「改まって、二人きりでデートなんて誘えます?」
「………」
確かに。二人きりでデートなんか滝川でもしたことがない。
「もう、仕方ないから付き合ってやるよ。俺も夢の国久しぶりだし…」
そう言いながら、やはりBL色が強すぎるのでジョンも誘ったが、教会の仕事があると断られた。綾子は節約中なのでほっとこう。
さぁ、3組のカップル(?)達はどうなるのかな?