第8章 月が綺麗ですね
清が食事を終えたのを見計らって、ナルが封筒から操から送られてきたチケットを取り出した。
「これって…」
テーブルに置かれたチケットに目を見張る。
「わぁっ!夢の国のチケット!どうしたの、これ?まさかナルが準備してくれたの?」
「そんなわけないだろう。操が送ってきた。一緒に行くようにって」
「え?誰が一緒にって」
「僕が」
「夢の国に興味あるの?」
「全く」
「だよね…。別に無理しなくていいんだけど」
「チケットを準備したのはラッセル卿らしいから、是が非でも行くように上司命令だ」
(なるほど、パトロン確保のためか…)
「でも、仕事はいいの?」と清は首を傾げた。
「今は依頼を受けてないからな。明日1日ぐらい休んだって構わない」
ようやく納得したようで、清は破顔する。
「ずっと行きたかったの!一人では行きづらかったからナルが一緒だと心強い!ありがとう」
「…ああ」とため息混じりに返事をした姿を見て、本当は行きたくないんだろうなと思った。
ナルには悪いけど、夢の国に行けるのが嬉しくて仕方ない。
時差ボケの疲れなんてすっかり忘れて、清は明日に思いを馳せるのだった。