第5章 彼の日常
「どうしたの?」と清が駆け寄る。
「別に。僕もセントジョンズに行ってみようと思っただけ」
午後からモヤモヤして集中力が続かない。
この日本からの観光客のせいかどうかはわからないが、清がニコニコ楽しそうにしているのも気に入らない。
たまには気晴らしに他のカレッジに行くのもいいかもしれないと思っただけだ。
「私と一緒だとゴースト見れないよ?」
「どうせ機材がないから見れようが見れまいが関係ない」
ナルも一緒にセントジョンズ・カレッジに向かう。
「セントジョンズといえば、ため息橋が有名ですよね〜。いやぁ、カレッジ巡りなんて大学の友達に自慢できるなぁ」
「少年、ほんとによく知ってるな……」
俺が行くって言わなくても、こっそり一人でも行ってたパターンだなこりゃ。
チャペルや学生寮を観光しながらゴーストの目撃情報がある場所を回るが、残念ながらそれらしいものを見ることはできなかった。
ため息橋まで来ると滝川と安原は辺りを散策してくると、カメラ片手に二人で歩いて行った。
清とナルは近くのベンチに座り、アイスティーを飲みながら休憩することにした。