第5章 彼の日常
相変わらず英語で話す二人。
滝川はさっぱりわからないし、早口で安原にも聞き取りにくい。
「協力者さんでしょ?仲良くないの?」
「僕は誰かさんと違って、馴れ合わない主義で」
むぅっと頬を膨らます清は「なんで怒ってるの?」とナルの顔を覗き込む。
「別に怒ってない」
「そんなんじゃ、セントジョンズに出た新しいゴーストの話教えてあげないよ」
「あのカレッジでゴーストが出る話は有名だろう」
「いつものゴーストは男の人でしょう?この前、ケイトが見たのは女の人だったって」
ナルの目の色が変わった。
どうやらナルの扱い方を心得ているなぁと安原は思った。
四人はトリニティ・カレッジの近くのカフェに移動した。
行きつけのカフェらしく、店員は清と一言二言話をすると奥の窓側の席に案内してくれた。
清が手洗いに行き、安原は窓から外の景色を眺めている。
ナルの隣に座ったぼーさんは、相変わらず小難しそうな本を読むナルに話しかける。
「…あの子、ナルちゃんの彼女?」
「…清ですか?ただの幼馴染ですが」
(いや、ただの幼馴染には見えねぇんだよ。こないだのことといいさぁ…)