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ヤドリギ【ゴーストハント】

第4章 Home sweet home



「……邪魔してる」

薄明かりの中、ナルは平然と本を読んでいた。
本当にここにいたんだと滝川と安原は思ったが、ほぼ同時にソファの上の光景に釘付けとなった。

ナルの傍らでスヤスヤと眠る女の子。
どう見ても恋人同士にしか思えない距離感。

まさか、ナルに限って。
心霊現象にしか興味がないように見えていたのは詐欺だったのか?


動揺を隠しきれない二人を尻目に、操は大声で清を揺すり起こした。
「清!ワインどこ?あと、おつまみも」

「…ん〜?お母さん?」
清はしぶしぶ目を開けた。

(…あれ、寝ちゃったんだ…。でも何で、ナルの顔が真上にあるの?)


「………。
ごめん、ナル!」
「いや」

ナルの膝の上に頭を預けていたことに気が付いて、清はすぐに飛び起きた。

「清〜、ワインは〜?」
「お母さん、また飲み過ぎてるじゃん!もうダメ!」

ナルは本を閉じて、立ち上がった。
「僕は帰る。清、邪魔したな」
「あ、うん。また明日」

いつもは日本語で会話するのに、何故かナルは英語で話しかけてきたので清も英語で返した。
動揺がまだ治らない。


「って、そちらの方は?」
ナルが玄関を出てやっと滝川と安原の存在に気付いた。
彼らはそろって会釈をする。

「せっかく仲良くなったんだからまだまだ一緒に飲みたいの!」
「ダメ。この方達にも迷惑です。母がすみませんでした。タクシー呼びますね」

すごくしっかりした、普通の子だなぁと二人は思った。
でも、あのナルとの関係を思うと衝撃を飲み込むのに時間がかかりそうだ。



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