第4章 Home sweet home
「ふぁ…」清はあくびをした。
「眠いなら、操なんかほっといて部屋に行ったらどうだ?」
「ん…、でもこれが終わるまで起きてる」
ゾンビ映画は佳境を迎えていた。
だが眠くて、内容は頭には入ってこない。
起きてると言ったものの、そのうち清はソファに丸々ように横になり、ナルの膝を枕にして静かに寝息を立て始めた。
(…やっぱり、な…)
煩わしいテレビの音を消す。
うるさい連中はもう帰っただろうか。
(もう少し、眠らせてやるか)
明日はSPRも休みだし、急いで帰ることもない。ルエラにバレていたら心配しているかもしれないけれど。
清の頭をそっと撫で、また本に目を移す。
その時、玄関先でガタガタと物音がした。
「飲み直すって言っても日下部さん、ふらふらですよ」
「何言ってるの。全然大丈夫よ!」
いや、大丈夫じゃないから言ってるんだけど。この人完全に酔っ払ってる。
完全に千鳥足の操は滝川と安原に両脇を抱えられて帰宅して、玄関ドアをドンドンと叩き始めた。
「清〜!帰ったわよー。開けて〜」
中ではナルが聞こえないフリをしていた。
相変わらず、うるさい上司だ。
静寂の時間を邪魔されたくないし、清を起こしたくもないからナルは玄関ドアを開けない。
「日下部さん、鍵は?娘さん寝てるんじゃないですか?」
「しょうがないわねぇ。そこの植木鉢の下になぁい?」
安原は鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。
「失礼します」と言ってドアを開けた。