第4章 Home sweet home
「少年、あれどーゆーこと?」
「いや、衝撃的でしたね。あの渋谷さんが」
ホテルに帰った後、2人は部屋に戻らずにホテルのバーで飲み直していた。
近所に住む、同い年ぐらいの女の子。
夜中まで2人きりで過ごすところもソファの距離感も、ただの幼馴染だという理由だけでは片づけられない。
でもあのナルに聞けるはずもなく、滝川と安原は消化不良を抱えてしまった。
「とりあえず、谷山さんと原さんには言えないなぁ…」
確かに、と滝川も思った。
清は麻衣や真砂子とはタイプが違う。
背は2人より少し高く、垢抜けた印象の女の子だった。かといって綾子のようにケバケバしくはない。
絶世の美女ではないが、ナルの隣に違和感なく馴染むその姿はお似合いに見えた。
2人がナルと清の様子を見たらどうなるのだろう。
まさかこんな展開になるとは思っていなかった。
イギリスに来て、親愛なる博士のプライベートを少しでも垣間見れればと思っていただけなのに。
「他の奴らには言わないでおこうぜ」
「よし!男同士の約束ですね!」
「気持ち悪い言い方をするなよ…」
それぞれの思いを抱えながら、イギリスでの夜は更けていくー。