第4章 Home sweet home
全員が揃い、パーティーはそれぞれの話で盛り上がりを見せていた。
年長組は操と酒を飲み交わし、意気投合していた。
麻衣と真砂子は、まどかに通訳をしてもらいながらルエラにナルが小さい頃からのアルバムを見せてもらっていた。
「可愛いわねぇ。ナルにもこんな時期があったのね」
「あの、まどかさんこの子は?」
真砂子が指差したのは、ナルとジーンの間に立って微笑む少女。
見た目は東洋人。よく一緒に写真に写り込んでいるから麻衣も気になっていた。
「ああ、この子は清よ。そこにいる上司の娘さんで、ナルとは幼馴染なの。そういえば、今日は来ていないのね」
きっと、二人のことをよく知っているんだろうなと思ったが会いたいような会いたくないような、複雑な感情が麻衣の中には芽生えていた。
(頃合いか…)
時刻は8時前。食事を済ませ、たまに絡みにくる連中(主に酔っ払い)を適当にかわす。
誰にも声を掛けられないタイミングを見計らって、ナルはそっと家を出た。
7時に予定通りバイトは終わったが、バイト仲間から食事に誘われて清が家に着いたのは8時をとっくに過ぎていた。
操は今日も遅いだろうし、別にこれといった予定もない。
明日は休み。撮りためた映画でも見ようと思いながら、家に帰るとそこには思わぬ先客がいた。
玄関前で佇むナルを見つけたのだ。
「ナル?何やってんの?」
「家がうるさくて落ち着かない」
「…私の家、避難所じゃないんだけど」