第4章 Home sweet home
「はにゃ〜。疲れた〜」
部屋に着いてすぐ、麻衣はベッドに飛び込んだ。
部屋は3人部屋。綾子と真砂子も一緒だ。
「はしたないですわよ、麻衣。荷物ぐらい片付けられたらどう?」
そう言いながら、真砂子は手早く荷物を片付けると着物を取り出している。彼女は今、和装ではない。長旅で余計疲れるからという理由だ。
「その着物に着替えるの?可愛い〜。やっとナルに会えるんだもんね」
蝶と牡丹の花が映える黄色の着物。きっとお気に入りの1枚なんだろう。
ナルに好意を抱く真砂子は今日を心待ちにしていた。「からかわないで」と紅色に頬を染める彼女が可愛らしい。
「まさか、ナルのお宅に招待していただけるなんて…」
確かにそれは想像していなかった。ルエラが"お世話になっている皆さんをもてなしたい"と言ったから実現したんだとまどかから聞いた。
ナルの家。
それは、かつて彼も住んでいた場所。
ディヴィス家はケンブリッジの一角にある。
パーティは6時から。普段夜遅くまでSPRで研究をしているナルも今日は早く帰るように言われていた。
(なんで僕まで…)
気が進まない。パーティなんてやりたい者だけですればいい。
どうせまた操とまどかが酒を飲んで騒ぐだけだ。それにあの日本のメンバー達が便乗するとなれば頭が痛い。
……まぁいい。自分にも考えはあるから。