第3章 シンクロ〈new!〉
「リン、またね!」
ディヴィス家で夕食を共にしたリンを見送った後、三人はリビングで過ごす。
清は操が帰ってくるまでディヴィス家にいるのがいつものことだ。
「…ここの計算間違っているから答えがおかしいんだ」
「えー?」
ジーンはテレビを見ながら、ダイニングテーブルで勉強する二人のことが気になって仕方ない。
「できた?」
「数式が違う」
「やだ、もー!!」
清はペンケースを開けて消しゴムを取り出す。
(あんなブサイクな猫のキーホルダー、ペンケースに付けてたっけ…?)
「ねぇ、この猫のキーホルダー買ったの?」
「ううん、これはね…」
ナルがわざとらしく咳払いをして、トントンと指で机を叩いた。
「清」
「はい!」
清は急いで宿題を進めようとする。
怪しい。今のはなんだ。
まるであのキーホルダーは二人だけの秘密みたいではないか。
(ナル、何隠してんの?)
(別に何も)
ホットラインを通じて話しかけても、ラチがあかない。
「清!明日は二人で遊びに行こう!」
「うん、いいよ」
きっとナルは明日もSPRに行くだろうから、二人きりで過ごせるはずだ。