第3章 シンクロ〈new!〉
ある日のSPR、フィールドワーク研究室。
「それでさ!どこ行ってたか全然教えてくれないんだよ!ナルはいいとして、清まで約束したからナイショ〜とか言っちゃって。ねぇ、リン聞いてる?」
「………はい」
パソコン作業中のリンの後ろでジーンはぼやいていた。
それは先週の日曜日、クラスの女の子に誘われて遊園地に行った日のことだ。
自分がいない間にナルと清も二人だけで出掛けていたらしいが、どこへ行ったのか何度聞いても教えてくれない。
「だからといって、そんなに気にすることでもないでしょう?」
「だって、二人がこっそり付き合ってたらどうするのさ!?」
ナルに限ってそんなことはありえないと思う。
それにリンの目から見ても清はナルよりもジーンと仲が良い。
ノックの音がして、研究室に室長の操とナル、清が入ってきた。
「あらジーン、ここにいたの。
リン、今日はもう上がっていいから、悪いんだけど子ども達を送って行ってくれる?私とまどかはもう少しかかりそうなの」
「それは構いませんが…」
「僕は明日も休みだし、もう少し残る」
「ダメよ、ナル。私がルエラに怒られちゃうから」
三人ともリンの車に乗って帰路に着く。
助手席にナル、後部座席にジーンと清といういつも通りの位置に座った。
「ねぇナル、晩ご飯終わったら数学の宿題手伝って」
「前にも教えただろう。何で数学だけ苦手なんだ」
学校のクラスは成績順でナルと清は一番優秀なクラス。
ただ、清は数学だけ壊滅的に苦手だ。
「僕が教えようか?」
「お前もこないだのテスト38点だっただろ」
「何でナルが知ってるんだよ!?」
「ルエラが答案見つけてぼやいたからな」
(ナルめ…!くそぅ…!)