第2章 秘密
「まずは、…さっきのキーホルダーを貸してくれ。木箱に入れる」
ナルは木箱の中に猫のキーホルダーを入れた。
「次は、清の一番好きなカードを選んで、僕に見えないように持っていて」
「うん」
清が選んだのはハートの3。ナルが背を向けている間に服のポケットに忍ばせた。
「じゃあ、僕がベルを一回鳴らしたら中を開けて」
「う、うん」
ナルは一度だけベルを鳴らした。
中を開けると、木箱は空っぽだった。
「あれ?どこ行っちゃったの?」
「さあ?ヴィアニーに聞いてみるか?」
ヴィアニーの方を見るが、彼は白い歯を見せながら笑っているだけだ。
「じゃあ今度は清がベルを2回鳴らして。戻って来るように祈りを込めて」
清は訝しげにベルを2回鳴らした。
「開けて」というナルに促され、木箱を開けるとそこにはカードが一枚入っていた。
「キーホルダーは?」
「ああ、よっぽど清に会うのが恥ずかしいんだな。ほらー」
ナルが木箱から取り出したカードはハートの3。さらにそのカードには猫の肉球の印が付いていた。
「えー!?私が持ってたカードは?」
ポケットを探すと確かにない。
ヴィアニーは拍手した。
「素晴らしいね。見事だよ、ナル。これなら豪華客船で披露してもおかしくない」
「すごーい」と清も笑顔で拍手を送る。
ナルは満足そうに少し笑った。
「それは、どうも」