第2章 秘密
興奮覚めやらぬ清を尻目に店の奥のテーブルでナルとヴィアニーはカードで手品の練習を始めた。
その間、マジックショップを見て回る。
ショーケースの中にはカードや手品に使うであろう手袋や帽子などが並んでいる。
「面白い物はあったかな。お嬢さん、コーヒーは飲めるかい?」
「はい。…お砂糖とミルクがあれば」
どうぞとヴィアニーはコーヒーカップを差し出した。
ナルはまだカードをスライスしたり、シャッフルしたり何度も繰り返している。
「ナルはよく、ここに来るんですか?」
「ーーああ、たまにだか。前はうりふたつの兄弟を連れて来たよ。…いや、付いて来たかな。ナルは嫌がっていたから。君と違って。
君はナルの彼女かい?」
「ち、違います!私はただの幼馴染で…」
赤く頬を染めて否定する清をヴィアニーは面白そうに見つめた。
「あの若さでSPRの研究者なんて大したものだか、もっと若者らしく楽しめばいいのにと思っていたんだ。君のような可愛い子がそばにいるなんて知らなかったから」
「や、でも私は彼女とかじゃないんです…」
「清、ちょっとそこに座ってくれ」
ナルは顔を染めていることなんておかまいなしに清に話しかけてきた。
ヴィアニーの隣にいるのも気恥ずかしいので、ナルの前に座った。
テーブルの上には小さな木箱とトランプ、そしてベル。
「今から、マジックをご覧にいれましょうー」