第2章 秘密
そして、日曜日の朝。デート当日。
「せめて…、一緒に行かない?ナル」
「興味ない。自分が約束したんだろう」
「そうなんだけど……」
リリーとは同じクラスだが、まだほとんど話したことがない。
嫌いではないが、好きでもない相手と2人きりでどうしたらいいのだろう。
でも約束した手前、すっぽかすのは失礼だ。
しぶしぶジーンは出掛けようと玄関を出ると、外で清が待っていた。
「あ、ジーン!今日は頑張ってね!」
明らかに浮き足立っている彼女を見て、「一緒に行こう」と喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
デートの相手が清なら、きっと楽しくて仕方ないのに。
「…暇だなぁ。ナルは今日何するの?」
そのまま、ディヴィス家に上がり込んだ清は、リビングで本を読むナルに話しかけた。
本に夢中の彼はうわの空で「特に何も」と答えた。
まさか夕方まで本を読んでいるつもりだろうか。
(つまんない…)
ジーンが帰ってくるまでには何時間もある。
2人がどうなるか、気になって仕方ないのに。
「ねぇー、ナルつまんないから図書館でも行かない?」
図書館ならついて来てくれるかもという淡い期待を持ってナルを誘う。
パタン。
ナルが本を閉じた。
「…図書館には行かないが、これから僕は出掛ける。清も一緒に来るか?」