第2章 秘密
「あの…、急に呼び出してごめんなさい。実はお願いしたいことがあって…」
頬を赤らめたリリーはそう言って口を噤んでしまった。
見るに見かねた友人が口を開いた。それによると、ジーンをデートに誘いたいから今から一緒に帰れるようセッティングして欲しい、ということだった。
「ああー、別にいいけど…」
「本当?ありがとう!」
リリーは安堵した笑みを浮かべた。
確かにジーンと一緒に帰りたければ清に言うのが確実。
ナルは話も聞かないだろうから。
今日もいつものようにジーンとナルは校門前で待っていた。
作戦を実行に移す。
「お待たせ!
あ、ナル!先生が用があるから一緒に来てって。ごめん、ジーン先に帰ってて!」
「…?何の用だ?」
怪訝そうなナル。大人しく付いてきてくれ。
「僕、待つよ?そんなに時間かかる?」
「かかるかもしれないから!大丈夫、先帰ってて!ほら、ナル行くよ」
ぐいっとナルの腕を引っ張る。こんなことをして怒られないのは清ぐらいだろう。
ナルと校舎の陰に隠れて様子を伺う。
すぐにジーンに話しかけるリリーの姿が見え、何回か言葉を交わすと一緒に校門をくぐっていった。
「何だ、これは?お前何がしたいんだ」
「えーと、愛のキューピット?」
「はぁ…?」