第2章 秘密
15歳の秋。
新しい学年に上がってしばらく経つ。
ナルと清は同じクラス。ジーンは隣のクラスとなった。
「あ、ケイト、髪型変えた?」
数学の教科書を忘れたジーンは清に借りに来た。清の隣に立つ亜麻色の髪の親友に話しかける。
「うん。前髪変えただけなんだけど」
「よく似合ってるよ。じゃ、清ありがとう。帰りに返すね」
彼はそう言って、自分のクラスに戻っていった。
「さすが兄。弟とは大違いね」
前髪を触るケイトの視線の先には素知らぬ顔で本を読むナルの姿があった。
容姿端麗な双子はもちろん校内の注目の的だが、人気があるのは圧倒的に人当たりのいいジーンの方。
たまにナルに話しかける勇者がいるが、彼とまともに会話できる者は教師と兄、清ぐらいなもの。
今日も何事も無く、授業は終わった。
帰り支度をしていた清はケイトから手招きされる。
「ちょっと、隣のクラスのリリーが清に頼みたいことがあるんだって!」
思わぬ呼び出しを受け、清はケイトと校舎裏に回る。
リリーはその名の通り、可憐な白い花を想像させる見目麗しい女の子だ。
だが、話した記憶はほとんどない。
校舎裏では、リリーとその友達が待っていた。