第1章 ヤドリギの下
ナルも、清もどっちもどっちだな。
彼はそう思った。
ほのかで、淡い、この気持ちは何だろう。
昔感じたことがあるような気もする。
ジーンのホットラインを通じて。
(………)
ナルはハッとしてクローゼットの隣の姿見を見た。
映っているのは部屋の風景。
彼の姿などない。
(気のせいか…?)
一瞬、ジーンの気配を感じた気がした。
再び手元の本に目を落とすと、ノックの音が響いた。
ルエラが顔を覗かせる。
「ナル、清もそこにいる?パーティーを始めましょう」
ルエラの声に目を覚ました清は、う〜んと両手を広げて背伸びをする。
短時間だかすごく良く眠れた気がする。
「ナル?どうしたの?」
そこには姿見に手を当て覗き込むように見つめるナル。
映っているのは、眉目秀麗な彼そのものだ。
「いや、何でもない……」