第3章 緑玉髄の魂
レンガ模様の道路を、半ば走るように進む。
当然のことながら乱歩は待ってくれなくて、履き慣れたスニーカーに替えておいてよかったと思いながらも、やはりマイペースな乱歩に翻弄されている。
「ら、乱歩さん! ちょ、ちょっと、待って! 待ってくださいってば! 説明してくださいよ!」
「必要ないでしょ。どうせ着けばわかるんだから」
「ならどこに向かってるかだけでも教えてくださいよ!」
「……はぁ、しかたないなあ。行き先は──
──留置場だよ」
「はあああっ!?」
──意味わかんない。……意味わかんない!
留置場とは、取調べ中の容疑者や、送検前の被疑者が収容される施設のことだ。
ふざけるな、と言いたくなった。
言葉足らずにもほどがある。屍体のところに行くのではなかったのか。そんな場所に屍体があるというのか。聞きたいことは山積みなのに、質問を許してはくれない。
──ええい! もうどうにでもなれ!