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不羈奔放【戦国BASARA】

第27章 俺の知らない彼女の過去【政宗・元就】


「目の前が、真っ白になった。誰がどうとか、識別できなくなって、新しく近づいて来たのが誰なのかもわからず…私は、」
「冴」
「私は…元就すら、斬ろうとした。気付いた時には元就の肩越しに、沢山の骸、が、転がって、た」
段々と、声が細く、言葉が途切れ途切れになっている。
「自分が、やったんだって、認識、できた時には、身体が、すごく、震えてた…」
ぎゅっと冴は自らの身体を抱き締める、その肩は小刻みに震えていた。
「私、は、何も、できなかった…!!ただ見てただけで、父様も…母様も…!!」
「…何もできなかったわけじゃねぇだろ」
「わかったように言うな…ッ!?」
振り向いた直後には目の前が蒼に染まっていた。少しの間があり、自分が政宗の腕の中にいるのだと気づく。
「お前は、何もできなかったなんて事はねぇ。自分も殺されはしまいと、必死に足掻いて、今こうして生きてるじゃねぇか」
「……ッ!!」
「二人は、お前が生きて花鳥風月(そいつ)が守られることを望んだんだろ?お前は二人の望みを叶えている。違うか?」
最後のは、元就に問われたものだった。
「…違わぬ。冴は花鳥風月を手に、今こうして生きておる。それだけでも、二人は救われておる。…今度は、受け入れられるだろう?冴」
いつも否定し、自分を責め続けていた冴。自分の言葉は届かなかったというのに、この男の言葉は受け入れるのかと、元就は複雑な思いを抱きながら答えた。
「ほらな」
「う…」
冴の瞳から雫が零れ落ちる。ぎゅっと政宗の胸に顔を押し付けて俯く。政宗は片手で冴を抱き締めながら、空いた片手で嗚咽を漏らす彼女の頭を撫ぜていた。










「ところで政宗、なんでここに?わざわざ、中国まで」
落ち着いた冴が問う。確かに、と元就も政宗を見た。
「Ah?最近お前の姿が見えなかったからな」
「…それだけでここまで来たわけ?それも単騎で」
「あぁ」
「…竜の右目の苦労が否まれんな」
「影役をさせられる成実とかもね…」
当人は気にする様子も無く、三人は山道を下り進んで行った。







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元:僕の知らない彼女の過去
Choice 201~300
お題配布元:はちみつトースト 様
http://honey0toast.web.fc2.com
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