• テキストサイズ

不羈奔放【戦国BASARA】

第27章 俺の知らない彼女の過去【政宗・元就】


山を登って行くと、石造りの階段があり、すぐそばに〝高瀬家〟と書かれた札があった。政宗は数秒それを見つめた後、階段へと足を踏み出した。







階段を登り切った先にあったのは、二つの人影と、墓石。立っていた男が政宗に気づき、一瞥した。もう一人の女は墓石の前で手を合わせている。政宗は静かに二人の元へ歩み寄った。
「…殺されたん、だってな」
「……兄様?」
「あぁ」
政宗が来た事には気づいていたのだろう。さして驚きもせず、冴は答えた。
「野党とか、じゃねぇだろ。そんなんで死ぬようなら、ガキのお前を連れて旅してた時にとっくに死んでる。一体、何だ?」
「貴様、それをきいてどうする。きいたところで気様には何の得も無かろう!?」
耐えきれなくなった元就が政宗を睨み止めにかかる。が、政宗は元就に鋭い目を返した。
「Ah?損得できいてんじゃねぇよ。あんたは黙ってな」
「貴様…!!」
「元就、いいよ」
「冴!!」
掴みかかろうとした元就が冴に止められる。ここまで怒りを顕わにする元就も珍しい。それも、他人のために。冴は二人に背を向けたまま立ち上がり、淡々と語り始めた。
「どこのどいつが、は、まだわかっていない。わかっているのは、野党や落武者なんてものじゃないことと」
すっと冴の左手が、己の左腰にある二刀に添えられる。
「これらを狙ったのだということだけ」
「その、刀を…?」
自然と政宗の目が二刀に向く。
「確かに上物だとは思うが…」
「これは高瀬の家宝。名は〝花鳥風月〟。高瀬家の〝武を継ぐ者〟に受け継がれる二対の刀。この二刀には強大な力が秘められていると言われている。だから、狙われたんだと思う」
「……」
政宗は何か言おうと口を開きかけだが、やはり最後まできこうと思い留まった。その空気を読んだかのように冴はそのまま続ける。
「私はその時、父様、母様と一緒にこの山に来ていて、そこを、やつらに襲われた。父様は、私と母様を守ろうとして、戦われた。…でも」
浮かんでくるのは、父の身体が崩れ落ちる瞬間。母に二刀を手渡され、背に隠される。直後、母の身体も崩れ落ちた。視界に広がるのは、みるみるうちに朱に染まり冷たくなっていく両親の姿。
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp