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不羈奔放【戦国BASARA】

第23章 初恋のけじめ【浅井長政・お市】




冴は近江を訪れていた。昔元服の直前に出会った長政が、魔王と言われる織田信長の妹・お市を妻に迎えたという話をきいたのだ。婚姻自体はだいぶ前で、冴の耳に入ったのは遅かったようだ。同盟の政略結婚か、と冴はなんとも言えぬ思いに駆られたが、それは武家の嫡男のさだめなのだろう。それで納得してしまうのもどうかと思うところだが、世が世なのでいた仕方がないのであった。
冴が近江に来たのは婚姻を祝う為と"お市をみる"ことなのだが、文を送ったあときた返事は、「城下町で待て」だった。小谷城に来られたらまずいことでもあるのだろうか、と首をひねらせた後、冴は言われた通り、指定された茶店で待っていた。
「冴」
呼ばれて、顔を上げる。そして目をまたたかせた。随分見ないうちに 立派になったものだ。冴は立ち上がって軽く会釈する。
「お久しぶりです、長政殿。遅くなりましたが、お市様とのご婚姻、おめでとうございます」
「…冴」
「わかってるよ、ごめん、長政」
挨拶くらいはちゃんとさせてよと笑うと、小谷城の主・浅井長政は少々渋い顔で押し黙った。そして「行くぞ」とだけ言い、歩き出す。冴は慌てて店に金銭を払い、長政の後をおった。

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