• テキストサイズ

不羈奔放【戦国BASARA】

第22章 雨宿りしたら 君と出会った【風魔小太郎】




空は曇天。耳につくのは地を打つ雨の音。片腕には、木の実やら山菜やらが布に包まれておさまっている。奥州から甲斐へ向かう途中の山中で山小屋を見つけた冴は、そこで一晩過ごすことにして食糧の調達に出た。片腕に食糧がたまってきたころぽつりぽつりと雫が落ち始め、今ではどしゃ降りだ。冴は木陰で雨宿りしながらため息をついた。
「めんどくさ…」
彩輝は小屋の中に入れてあるが、野党なんかが出た時すぐ逃げられるように扉を開けて来たから、帰って来ない冴を心配して外に出ているかもしれない。走って戻ろうかとも考えたが、折角の食糧も、待っている彩輝も濡らしてしまう。止むのを待つのが一番だが、彩輝の事が気がかりだ。どれを優先させるべきか悩んでいると、ふと視界に影が落ちた。え、と振り向くと、そこには黒い甲冑を身につけた男が立っていた。
(気配が全くしなかった…)
顔は兜で大半が隠れていてよくわからないが、両頬には赤い顔料が施してある。身なりからするに、忍だ。その赤のような濃い橙のような派手な色は、どこぞの忍を思い出させる。そんな男が今、冴に傘を差しだしている。
「…いいの?」
「……」
何者、とは思ったが、どうやら敵意はないようだしきいてみた。すると相手はこくりと頷き、ずいと傘を押し付ける。
「あ、ありがとう…」
冴はそれを受け取ってさした。
「あなた一体…」
どこの忍、と訊くつもりが、すでに男の姿はそこから消えていた。
「…?」
なんだったんだと思いつつ、冴は彩輝の待つ小屋へと急いだ。

/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp