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不羈奔放【戦国BASARA】

第21章 「子どもだって容赦はしない」【森蘭丸】




刀と弓。遠距離から攻撃できる蘭丸が有利かと思えたが、冴はそんなこと関係なく、矢を避けて走り抜けていく。
「くそっ!当たれよ!!」
一気に多数の矢が襲い来ても、避けられないなら弾くまで。冴の刀に風が纏う。風が雷を弾き吹き飛ばしていく。冴は一気に間合いを詰め、蘭丸が持つ弓を峰で弾き飛ばした。
「うわっ!!」
勢い余って蘭丸の小さな体が吹っ飛び、尻餅をつく。その首筋に刀を当ててやれば、勝負ありだ。
「~~~~~!!!お前殺す!!いつか絶対殺す!!」
「私、織田軍と戦う理由無いんだけど」
二刀をおさめて蘭丸から少し離れる。蘭丸は尚も冴を睨みつけながら立ち上がる。
「…お前は、信長様の敵じゃあないのか?」
「敵でも味方でもない、かな。織田軍で関わったのは蘭丸が初めて…あぁ、市を含めるなら二人目か」
「お市様を知ってるのか?」
蘭丸が少し目を丸くする。歓びが含まれているのは気のせいだろうか。
「うん。知り合ったのは浅井に嫁いでからで、健気な人だなって思った。もう少し明るくなれば、もっと綺麗になるんだろうけど」
「……お前、名前は?」
「え?高瀬冴、だけど」
冴は突然名前を訊かれたことに驚きつつ答えた。
「冴!次は負けないからな!」
そう言うと蘭丸は地に転がった弓を拾い上げて走り去っていった。冴は唖然としていたが、ふと我に返ると、目を細めて呟いた。
「まだ、子どもなのにね」
最北端の小さな少女が思い出される。こんな世、さっさと終わればいいのに。思いながら冴は彩輝を呼び戻し、また歩を進めた。



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セリフ 401~450
お題配布元:はちみつトースト 様
http://honey0toast.web.fc2.com/
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