第17章 命懸けの鬼ごっこ【毛利元就・長曾我部元親】
「そんなに邪険にしなくても、お前の大事な冴をとったりはしねぇよ」
「ッなっ…!!?」
「へ?」
元就の頬がさっと朱に染まる。元親はにやにやと笑っていた。冴だけがよくわからず二人を見比べている。やがて、元就がわなわなと震え始めた。
「(あ、やべ、からかいすぎたか?)おい、もう、」
「ッ!貴様ッ!焼け焦げよ!!」
「へ!?」
振り上げられた輪刀が輝きだす。冴は身の危険を感じてそそくさと二人から離れた。
「へ、おい、毛利、ちょっ、まっ・・・!!」
「散れっ!!!」
「ギャー―ッ!!!」
その叫びは、厳島中に響き渡ったという。
「〝大事な冴〟、ねぇ…」
「!」
思わず振り返る元就。その足元には、焼け焦げた元親が突っ伏していた。
「私にとっても、元就は大切なんだけどね」
「…!!」
「もちろん、元親も」
「……」
上昇しかけた機嫌が一気に降下する。
「その大事な人達が戦い合うのは本当は嫌なんだけどね。…まぁ、そんなの綺麗事でしかないんだけど」
「……」
やはり冴には敵わない、と元就は思ったのであった。
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choice 1201~1300
お題配布元:はちみつトースト 様
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