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不羈奔放【戦国BASARA】

第17章 命懸けの鬼ごっこ【毛利元就・長曾我部元親】



「覚悟は良いな?我が輪刀の錆びにしてくれる」
チャキ、と元就が輪刀を構える。元就の頭を『海に飛び込んで逃げる』選択がかすめたが、飛び込んだところで毛利水軍の餌食になるだろうとかき消された。三人の距離が徐々に縮まっていく。遠くから恐る恐る見ていた毛利家家臣たちも息をのんだ。
(さ、さすがに冴様は斬らない、よな…?)
(元就様が冴様を斬り捨てたら、それこそこの世の終わりだ…!)
そんな家臣たちの心配をよそに、元就が輪刀を振り上げた。
「元就」
振り下ろそうとした元就の手が止まる。元親を含め、全員の目が冴に向く。
「何を、そんなに意地張ってるの?」
「…我は、意地を張ってなどおらぬ」
「ならなぜ、四国と同盟を結ぶことを拒否するの?」
「……我は四国の手など借りずとも、邪魔者を消し去れる」

それに――

次の言葉が頭をよぎったが、口にはしなかった。
「張ってるよ、意地」
「張っておらぬ」
「…何それ。折角私が元親の意を汲んで仲介しようってのに、なんでそんなに拒否するかなぁ」
(我は、それが)
今まで無表情に抑えていた元就の顔が、みるみるうちに不機嫌の色に染まっていく。
(お?)
それにいち早く気付いたのは元親だった。
(なんだ、こいつ…)
冴も元就が不機嫌になったことには気づいているだろうが、理由まではわからないだろう。思わず口角が上がる。
「…何を笑っておる」
「いや、別に」
元親の様子に気づいた元就が睨みつけるが、元親はそっぽを向いてかわした。
「本当は理にかなってると思ってるんでしょ?中国四国の決着に邪魔ものなんかいらない。だからさっさと倒してしまいたい。けど、中国だけでは少々手厳しい。四国と手を組めば中国だけでやるよりは効率がいい…って」
「……」
元就は否定も肯定もしなかった。
「じゃあ、同盟を結ぶって事でいいね?仲介は予定通り私がするから」
「…仕方があるまい。だが、我は貴様と慣れ合うつもりはない。それは肝に銘じておけ」
後の方は元親に向けられたものだった。元親は「へいへい」と肩をすくめて笑った。
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